黒川博行『文福茶釜』です。
5話から成る短編集。
短編集は苦手でしたがこれは面白かったです。
骨董品や絵画を扱う美術商の騙し騙されの話。
贋作は客には売れないが、業者間では騙した方が勝ち。
騙された方は馬鹿にされてしまうという壮絶な世界。
今まで縁がなかった、美術関連の世界を覗けた感じです。
【内容】
古美術でひと儲けをたくらむ男たちの騙しあいに容赦はない。入札目録の図版さしかえ、
水墨画を薄く剥いで二枚にする相剥本、ブロンズ彫像の分割線のチェック、あらゆる手段を用いて贋作づくりに励む男たちの姿は、ある種感動的ともいえる。はたして「茶釜」に狸の足は生えるのか?古美術ミステリーの傑作。